鋼材について

鋼材には色々ありまして、440c(高硬度ステンレス) VG-10(コバルト入りステンレス)などが代表的でしょうか。最近では粉末ハイスなどもでてきました。
ではこれらは何が違うのでしょうか?
もちろん素材が違うのですが、それらが髪を切ることにどのような変化をもたらすのでしょうか?
答えは「あんまり関係ないんじゃね?」というのが僕の感覚的な答えです。

顕微鏡で切った髪の毛を覗き込んで、この鋼材のシザーで切った毛は綺麗に切れている。とか
コバルトが入っていると錆びにくいというのは、すべて微細な差なのかなぁと床屋としては思うわけです。
錆が気になるならしっかり手入れすればいいし、切れ味が気になるならまめに研ぎに出せばいいし…。
逆に言うなら、どんなに良い鋼材を使ったハサミでも、水浸しにすれば錆びるし、メンテナンスをすれば切れ味は落ちます。

ハサミの作りが変われば切れ味もかわります。

とどのつまり、使ってみないとわからないってことですね。

カット用シザーの選び方

正直なんでも大丈夫です
もちろん皆様好みがございます。しっかり切れるものが好みの方、少し逃げるものが好みの方、ドライORウェットが好みの方。
そのあたりを意識していただき製品説明を読んでいただければ問題が起こることはほぼないかと思います。
あとはサイズ感です。
手が小さい方や、細かい仕事用に4インチのシザー
刈り上げ用の7インチ、フェードのぼかし用の7.5インチシザーと様々ございますので、自身のスタイルに合わせてご購入いただけると幸いです。
あとは見た目ですよね。
お好きな見た目で選ぶことも大事かと思います。
一般的にゴールドやコーティングされたシザーの刃は、研ぎに出すと比較的に鈍角になります。これは研屋さんがいつもの通りに研ぐとコーティングが剥がれてしまうためです。そのため、研屋さんによっては嫌がる方もいるかも知れません。
しかし、自分の好きな道具を使うことが刃角なんかよりも大事だという人もおります。
鈍角に仕上がるならそれを利用し、スライドシザーの役割を担えることもあります。
一見短所であっても、それをどのように+に昇華するのか、というのも技術者の腕にかかっています。どうぞ人の意見に惑わされることなく、自分の好きなモノで仕事しましょう。

セニングシザーの選び方

これはカットシザーに比べて比にならないくらい難しいです。見た目でわからないことばかり…。
まずメンズショートが主なBARBERさんや理容師のお客様。なんでもOKです笑
一ヶ月に一度カットするのが主なメンズ客はセニングによるダメージの影響を基本的に受けません。(傷んでもすぐカットしてしまうため)

なのでこれから書くものは美容師様向けになりますのでご留意くださいますと幸いです。
まずセニングによるダメージ順に刃の形状を紹介します

溝タイプ<二梳き≦溝なし<新溝タイプ

となります。
ダメージの原因を簡単に言うと「切れていないのに挟まれた毛」が枝毛やパサツキの原因になります
例えばV溝タイプのセニングは溝に入った毛が切れますが、溝に入らず挟まれた毛は、切れないまでも折れたりちぎれたりするわけです。その毛が伸びていき、枝毛になったり、ちぎれたり…。

なので、レディースロングの多いお客様にはV溝タイプはおすすめいたしません。
ではV溝タイプが駄目なのかというと、そんなことはありません。
均一に毛が梳けることや、引っ掛かりの少ないことは利点ですので、メンズカットやベリーショートには積極的に使っていきたいところです。

V溝タイプ
二梳き、溝なしタイプ
新溝タイプ